アンドロマック

by ジャン・ラシーヌ

Blurb

『アンドロマック』は、フランスの劇作家、ジャン・ラシーヌ作の悲劇。執筆は1667年。初演はその同じ年の11月17日オテル・ド・ブルーゴーニュ座で、王妃マリー・テレーズ・ドートリッシュのために上演された。
アンドロマックを主人公にした劇は、エウリーピデースとウェルギリウスが書いていて、ラシーヌの劇はそれらを元にしている。トロイア戦争で、夫エクトールをアシールに殺されたアンドロマックは、戦利品としてアシールの息子ピリュスの奴隷となる。ピリュスはスパルタ王メネラスの娘エルミオーヌと結婚すると思われていた。
ラシーヌの劇の構造は、一方通行の愛の連鎖である。オレストはエルミオーヌを愛し、エルミオーヌはピリュスを、ピリュスはアンドロマックを、アンドロマックは亡夫エクトールと息子アスティアナクスを愛している。ピリュスの宮廷にオレストが到着したその時から、登場人物たちは激情的に破滅へと向かいだす。前作に引き続き、この劇の重要なテーマは「勇ましさ」である。以降、ラシーヌの劇はますます悲劇的要素を濃くし、そして『フェードル』で、ついにその頂点を極めることになる。
他のラシーヌの劇と違って、『アンドロマック』の人気が廃れることはなかった。この悲劇は、コメディ・フランセーズのレパートリーの中でも最も由緒ある劇である。さらに、フランスの学校では、劇の古典として、最も多く読まれ、研究されている。上映時間4時間に及ぶジャック・リヴェット監督の『狂気の愛』は、舞台『アンドロマック』のリハーサルを中心にして物語が進行する。

First Published

1667

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