勝手に生きろ! (学研M文庫)

Novel, Autobiographical novel by チャールズ・ブコウスキー

Blurb

もはや伝説となった無頼作家ブコウスキーが、酒と女、競馬と放浪に明け暮れた20代当時の自身の生活をもとに書き上げた長編小説。彼の小説ではおなじみの主人公チナスキーが、職に就いてはすぐに辞め、バーで出会った女と刹那的な関係を繰り返し、安宿から安宿へと酒を片手にアメリカ全土をふらつき回る。自堕落な生活を送りつつも、時折ふと脳裏に浮かぶ「おまえはどうせロクな人間にならない」という父親の声。

舞台は第2次世界大戦前後のアメリカだが、戦争は彼にとって「せいぜいぼんやりとした現実」でしかない。行ったこともない場所で会ったこともない人間たちがどれだけ殺し合おうと、目の前の酒と女、競馬の結果の方が重要だし、毛じらみの方が大きな悩みの種なのだ。チナスキーの生き方は、一見場当たり的で厳しい現実から逃避している。だが、「自分探し」だとか「生きる目的」などというどこか言い訳めいた言葉など軽く吹き飛ばしてしまうほど骨太で強烈である。

魅力をさらに増すのはその文体である。殴り書きのような荒っぽさの中に、せつなさを絶妙にからめる彼の文体は読む者を否応なくひきつける。ストリートで生まれ、終生ストリートで書き続けたブコウスキーの作品の魅力を、読者は生々しく感じとることができるだろう。(深澤晴彦)

First Published

1975

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