青い眼が欲しい

Novel by トニ・モリスン

Blurb

『青い眼が欲しい』は、ノーベル文学賞作家トニ・モリソンが1970年に発表したアメリカ合衆国の小説で、モリソンのデビュー作。白人の敷いた価値観を問いただす衝撃作。
大恐慌時代のアメリカ中西部を舞台に、白人の容姿に憧れる黒人の少女の一年間を描いたもの。少女は自分の不幸の原因が白人の美の基準にそぐわない自分の容姿にあると思い込み、青い目になれるよう空しい祈りを続けるが、父親の強姦による妊娠で気がふれ、「青い目になれた」と信じ込むものの、より青い目になりたいと想像上の友人と会話を交わす。物語は、アメリカのマジョリティであった白人中産階級が理想とする「よきアメリカ」の家族像を謳った小学校教科書の一節から始まり、それを幸せと信じた黒人少女ピコーラの悲劇が、少女と同じ黒人であるもののそうした考えを持たない友人の視点から語られ、白人の価値観が支配するアメリカ社会の中で、ピコーラを不幸にしている本当の原因のありかを探る。
主人公を襲う悲劇や彼女の持ち合わせる自己嫌悪の深さなど、扱う題材が陰湿なのにもかかわらず、読後に陰湿な印象を抱かずに済むのは、作者がこの作品の登場人物の誰かを告発する様な文体で著していないためである。この作品には作者の、登場人物皆に対して憐憫が平等に与えられている。

First Published

1970

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